人は死ぬから生きられる

禅僧,南直哉さんと,言わずとしれた脳科学者 茂木健一郎さんとの対談形式の文庫本.

茂木さんと南さん双方の脳内に潜む莫大な情報が詰め込まれている.
触れて来た学問・思想の根源は共通する二人の他流試合.

これは,インテリ同士の知識論争なんかでは,決してない.
まるで,高山 VS ドン・フライのような畑は違うが,本質は似通う二人の
殴りあい(ちといいすぎ)を堪能できる読み応えある本である.

そう,本心を話しそうにないキャラクタである南さんは,
対談を重ねるごとに,どんどんと,茂木さんに興味を持ち口数が増える.
茂木さんも低姿勢ながらも,どんどんパンチ(科学者らしからぬ情報)を打つ.
そこがおもしろい.

また,仏教の根本的な思想とか興味はあるが,なかなか深くは突っ込まないものなんだけど,
南さんは,おもしろいところをかいつまんで,かつ,みんなにわかるように噛み砕いて話すのが,とてもうまい人で,誰でも興味をもって,活字でもって説教を受けているような感覚を味わえるのもこの本の魅力である.

自分はやっぱり,禅の思想が好きです.生の実感は常にもって,生きたいもんです.

人は死ぬから生きられる―脳科学者と禅僧の問答 (新潮新書)

人は死ぬから生きられる―脳科学者と禅僧の問答 (新潮新書)